はしのーと

◇旅する絵描き実践録

「企業」からお給料をもらっているという壮大な勘違い

こんにちは、はしのです。

今回は「就職」についてお話しします。大学四年の春、同期が当たり前のように始まる就活を、私はまるで難解な時間を前にしたポアロ探偵のような気持ちで見ていました。

それは、就職することがいかにリスクか、考えていたからです。

「ノンノン、マダム。あなたは自分のしていることがおわかりですかね?」

ほとんどの人が一度は経験する、「働く」とは何か?

高い給料を求めて大企業に入社。

よかった、これで安定だ...。

でも蓋を開ければ上司は怖いし、残業ばかりでストレスフルな毎日。

「こんなはずじゃなかったのに...」

そう頭を抱えないために、ハシゴのかけ違いを防ぐために、「就職」を再定義してみたいと思います。

■多くの人に共通する話題でありながら、多くの人が根本的かつ致命的な勘違いをしている「就職」

まず知っていただきたいのは、就職することは「悪」ではなく「危険」だということです。

その「危険」を承知の上で就職を選ぶのであれば、それは完全な自由と呼べるでしょう。

同じ就職でも正しい認識の上で就職するのと、誤解の上で就職するのとでは数年後の結果が全く違ってきます。

「ニッサン」と「オッサン」くらい違います。

全然違いますよね。

しつこいようですが、「就職とは何か?」

あなたはなんて答えますか?

「会社からお給料をもらいながら、与えられた仕事をすること」

多くの人がこう捉えているでしょう。一見すると正しそうですが、実はこれはとんでもない間違いなのです。

言葉だけ見れば、起こっている現象としては間違っていません。しかし、この就職の捉え方には二つの根本的な間違いがあります。

それは、ある企業に就職するということを企業側の視点から考えればすぐに理解できます。

■雇う側から見れば、新入社員雇用とは博打のようなもの。

例を出して考えてみましょう。ある企業が、はしのを月収20万で雇ったとします。

この時、はしのが会社に対して20万以下の貢献をしたら、はしのを雇えば雇うほど企業は損をするわけです。ですから、少なくとも企業側は20万以上の働きをはしのに毎月してもらわなければ困ります。

そのためにノルマを課したり、生産性のない飲みにケーションの場を設けたりします。

外資系の企業であれば「はしの君は雇っても無駄だからクビね」とすぐ言えるのですが、日本の企業はこう簡単にはできません。何故かというと法律で禁止されているから。

先進国の中でも日本の解雇規約は非常に厳しい部類に入ります。

これは、裏を返せば「雇用コストが極めて高い」ことを意味します。

どういうことかというと、「このはしのってやつ、20万で雇っても役立たずだったらどうするよ」という心配が、外資系企業と比べて極めて大きいということです。なぜって簡単にクビに出来ないから。

企業にとって、新入社員を雇用することは高い「リスク」、つまり高い「コスト」なのです。

この「コスト」をどこかに転嫁しないと企業は経営が成り立たなくなりますよね。

例えば売上が減ってしまった、仕入れ値が上がってしまったなどで生まれたコストを、商品価格を上げることで経営に支障が出ないようにする(=コストを別の場所に転嫁する)のと同じ構造ですね。

はしのを雇用すると同時に、企業は「もしかしたら20万損するかも」という「コスト」を背負うので、さて、ではこの巨大なコストをどこに転嫁するか?が問題になるわけです。

企業側の視点に立って考えてみましょう。

・価格を上げる?➡それは怖くて普通出来ない。

・全員の給料を下げる?➡組合が黙っていないし、場合によっては訴訟になる。リストラはもっと問題だ。

・役員報酬を下げる?➡なんで自分の身を削らにゃいかんのだ...。

・企業年金などを減らす?➡OBの顔はつぶせない、無理無理。

となると、コストを転嫁するところはもう一か所しかありません。

新入社員の給料と待遇です。

どこの馬の骨かもわからない不安要素を抱えた新入社員を、企業はまずそれなりの時間と費用(=コスト①)をかけて審査し、一部を採用します。

しかしその採用した人間が「本当に役立つかどうか」は全く不確実ですし、むしろ損害にさえなるかもしれません(=コスト②)。

ならば、と企業は考えます。

これらのコストを採用するその人間に、そっくりそのまま乗せてしまおうじゃないか、と。

これが企業の基本的な考え方です。

つまり、「こいつが全く使えなくてもうちら(企業)にとっては気にならないくらいの給料と待遇で雇用しようぜ」ということです。

頑張って暗記してお辞儀の角度も覚えて面接に挑んで、やっと採用されたとしても、悲しいかなそもそも大した働きは最初から期待されていないのです。

ここでいう「働き」とは労働時間ではなく、あくまでも「生み出す付加価値」を意味します。

つまり日本の企業は、これと言って意味のある価値を生み出すことを社員に期待していません。

だから、特に新入社員には誰にでもできるようなつまらない仕事ばかりが回ってくるのです。領収書の整理、コーヒーづくり、コピー5000枚刷る等々...。

そもそも低値安定の期待値なので、「やり甲斐」なんて最初からありません。

そんなに期待されていないのだと初めから理解していないと、入社前の淡い期待はズタズタにされ絶望ばかりが大きくなります。

数年勤めて、「お、こいつは給料の30倍くらいは働くようだぞ」と認知されて初めて「やり甲斐」という言葉を口にする権利が生まれます。

この認識をもっていない方は非常に多いように思います。これだけならまだいいのですが、更に恐ろしいのは次の2つ目の誤解です。

■「企業から給料をもらっている」という壮大な勘違い

企業が企業として成り立っていくためには必ず「社員の働き>社員の給料」という関係が成り立っていなければいけません。

例え話をさせてください。

大手不動産会社に勤めるサラリーマンと、個人でネットビジネスをしている方がいます。

サラリーマンの友人は非常に優秀で、年間100件以上家を売っています。

仮にその家が1000万円だとしましょう。それを100件売るとなると、年間の売上金額は10億円になります。

その彼のお給料はいくらだと思いますか。年間1200万円です。

年収1000万円を超えることはサラリーマンの桃源郷なので、十分かもしれませんが、彼が稼いだうちの9億9000万近くは彼の手元に残っていません。

「社員の働き>社員の給料」になっていますよね。

これが、会社が成り立つために必要なルールです。

もう一人の個人で仕事をしている友人は、基本的には売上はそのまま彼の収入になります。

厳密に言うと、各種経費や税金などがあるのでまるまる個人所得になるわけではありません。ですがサラリーマンのように10億円稼いで1200万円しかもらえない、ということはないのです。

■つまり、企業は社員からピンハネをして成り立っている組織である

この事実を確認することが何より重要です。

優秀な社員に10億円稼がせて、9億9000万搾取している。その集合体が企業なのです。

つまり就職するというのは、その企業からお給料を有難くもらいに行くということでは決してありません。

正解は、自分(社員)が生み出した付加価値により稼いだお金の中から、企業に莫大な「みかじめ料」を払いに行くということなのです。

言葉を選ばずに言いますが、

あなたが受け取るお給料とは、あなたが実際に稼いだお金から、企業が企業として生きていくための運営費や人件費を差し引いた残りカスにすぎません。

本来ならあなたが社会に対して生み出した価値は月収20万に収められるものではなく、もっと価値が高いのです。

そういう価値に憑りついて甘い蜜を吸っているのが企業の実態です。

このある種詐欺まがいな企業の実態を理解すれば、「就職」に対する見方が大きく変わってくるでしょう。

しかし、「だから就職なんて馬鹿らしいんだ!」という主張を私は押し通したいわけではありません。

リスクを知った上であなたが就職を選択するのであれば、主体的なあり方なので全く問題ないと思います。

どうせ就職をするのなら、

「どこに就職してどれだけ貢献しても、結局はピンハネが行われるので、どうせなら好きな業界に就職した方がいいよね」ということです。

これが、「給料を目的にするな、やり甲斐で選べ」という有難いお説教の裏にある真実です。

これは聞いた話ですが、10億円稼いで1200万のお給料をもらっているビジネスマンのその彼は、

「個人で仕事すれば所得は倍以上になるんじゃないですか?」という質問に対して、「だって独立したらこの車売れないじゃん」と話したそうです。笑顔で。

明らかに自分が稼いだ金額を会社に搾取されているとわかっていても、さらりとこう言える彼のように、自分が強く関わりたいと思える業界を選ぶことができれば、

やりたくもない仕事を嫌々やるストレスまみれの生活よりはずっと幸せなのではないでしょうか。

自分の選択に責任をもって主体的に生きるためにも、

物事の表面ばかりに目を向けるのではなく、その裏にあるリスクを理解しようとする姿勢を、今後も身に着けていきたいですね。(自戒をこめて)

では、今回は以上になります。

ありがとうございました。

はしの。

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2 コメント

  1. マフィン 2018-06-16

    面白いっすねー!
    引き込まれる文章。
    才能を感じました。

  2. がわっちょ 2018-08-11

    ばしめてのコメントになります。
    どうぞ宜しくお願い致します。

    以前、住宅営業をしていたときは、販売差益で年間1億を稼いでしました。
    その給料は、おっ、驚くなかれ!
    年収が500万円でした…

    1億円から経費を引いても、500万円とは少なすぎです。
    会社からすると、まさに黄金の卵を産むガチョウを手にした訳ですが、
    経営者は目先だけの黄金に目がくらみ、ガチョウを殺してしまいました。

    もし、ガチョウから継続して黄金を手に入れたいのなら、
    ガチョウにもっと餌(年収2000万円くらい)を与えるべきだったのです。

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