はしのーと。

◇旅する絵描き実践録◇

星屑パレット

 

凍える心を抱えながら 

膝を何度もすりむきながら 

それでも歩くことさえやめなければ 

君の願いはきっと叶うよ 

 

 

季節は秋でした。

 

「そうだ月が描きたい」

子どものころから夜家に帰る時はいつも月を見上げていたからか、ふとそんなことを思ったのでした。

 

普通の月じゃつまらない。どうせやるなら、違いを創りたい。謎の闘争心を抱きながら、下描きはせず、ただ綺麗だと思う色を乗せていきました。

 

青、白、黄、青、また青、青、青、青…

陽は沈み、また昇るみたいに、何度も繰り返して。

この絵のゴールはどこなのか。描いている間ずっとわかりませんでした。けれど不思議と、迷子の気持ちがないんです。

 

 

先行きの見えない絵に向かう時、いつも考えていることがある

言葉にできない言葉を、誰かに。

 

今回は中学生の自分へ声をかけたくて描きました。

そうやって描いていると、先は見えないのにキャンパスが色を欲しがるんです。

「描いて、ここにも描いて」、「この辺ちょっと気持ち悪いよ」って。

まるで生きてるみたいに。

よくわからないと言われそうな気もしますが、兎に角そんな感じなのです。

 

 

13歳の頃というのは、いわゆるいじめやハブというのは、もう珍しくないですよね。

私の場合はいじめられたわけでもなければ、少ないけれど友達はいました。

けれど、人の目が怖くて仕方なくて、何も言われないように、目立たないように、カタツムリのように息を殺して過ごす毎日です。

もしも優しさが生まれる瞬間があるというのなら、そして仮に全人類が優しさを持った生き物だと仮定するなら、

間違いなく私の優しさの一部はあの当時に生まれました。

人の目が怖い分、そして自分が傷つきたくない分、人の痛みを敏感に察知するようになっていた氣がします。

 

”大丈夫だよ”

 

今思うと、制作時はちょうど自分のビジネスが面白くなってきたころだったこともあり、13歳の彼女に希望みたいなものを渡したかったのかなって。

泣いたっていい。怖がったっていい。

でもね、大丈夫なんだよ。だからどうか生きて。

そんな具合に。

 

 

星屑パレット 

 

 

 

 

 

お問い合わせはこちらまで。

hashino.travel@gmail.com

返信する

© 2019 はしのーと。

テーマの著者 Anders Norén